今回は皆さんもよくご存知のケイト・モス。彼女との出会いは、'90年代のはじめ。その日も『マドモアゼル』の仕事だったのですが、モデルとしては驚くほど小柄で、ちょっとおびえた子犬のような印象の普通の女の子でした。このとき彼女はNYにひとりで来ていて、初めての大きな仕事だったので、きっととても心細かったのでしょう。そんな彼女の素朴さがスタッフ全員に伝わり、みなその場で彼女を大好きになってしまいました。
早速彼女のメイクに入りましたが、ファンデーションを塗っただけであまりにも彼女がかわったのでとても驚きました。いままでのシャイでオーディナリ―なケイトは消えて、スーパーモデルの顔に変身したのです。「いいモデルはファンデーションを塗っただけで変わる」というのが私の経験から言えることですが、彼女はまさにそのトップモデルの素質を持っていました、生まれ持ったというかなんというか・・・。彼女はメイクによってどんな風にでも変わるすばらしいモデルだったのです。仕事が終わりに近づくにつれ、ケイトも皆に慣れてきて、いろんなことを話してくれるようになりました。もうすでにカルバンクライン社との大きな契約が進みつつあり、また、あのトップフォトグラファー、スティーブン・マイゼルとの仕事も決まっていることなど。そしてこの後ケイトは、あっという間にゆるぎないスーパーモデルの座についてしまったのです。
そしてこのカバーのテーマは「College(大学)」。 編集者からの要望もあって、ケイトを学生風にしました。大学生というよりなんだかリセエンヌのようでかわいいと思いませんか? この日彼女は、前の日まで撮影で1週間ほどバハマに行っていたらしく、日焼けし過ぎて顔が真っ赤に腫れ上がっていました。もうファンデーションをぬれないくらい、ひどいものでした。カバーからもその赤い日焼けの顔がわかりませんか? メイクに堪えるどころの肌コンディションではなかったので、マスカラとリップグロスだけで簡単に仕上げました。でも、このシンプルなメイクが、意外に学生らしさを際立たせたのです。このときのフォトグラファーは、ウォルター・チンという、ファッションを撮らせた10本の指に入るほどのベテランの人でした。2000年の RMK の広告も彼に撮ってもらいました。このカバーもとても美しい写真に仕上がって、大好きな作品の一つです。
撮影は珍しく簡単に終わり、皆とてもリラックスして、とても楽しいものだったと記憶に残っています。やはり、ケイトのいつまでも変わらないスイートでかわいい性格が、スタジオの雰囲気もよくさせるのでしょうか。
















