『イタリアン・ヴォーグ』のカバーは今までに二度ほど手がけたことがあります。当時(今でもそうですが)この雑誌のカバーをやれる事はとても重要で、やりたくてもなかなか機会がなかったかったことを覚えています。アメリカの雑誌のカバーと違って、ヨーロッパではクリエイティブが絶対に必要で、私達メイク、ヘアー、カメラマンにとっては腕の見せ所なのです。
特にこのときのカメラはこの世界では憧れのスティーブン・マイゼルというとても有名な人でした。この頃、彼と仕事をする機会が多かったので、このラッキーな仕事が私にもまわってきたのです。
モデルは女優のイザべラ・ロッセリーニ(彼女のお母さんはあの有名な、イングリット・バーグマン)。スティーブンのアイデアで映画のワンシーンという設定で NY から少し離れた所にあるビーチハウスで撮影が行われました。「夏も終わりの人気のないビーチで一人女が、恋人を待つ」というような設定だったと思います。
このメイクはそのセクシーなイタリア女性のイメージを出す為に眉毛を強めに、目にはアイライナーを強めに入れ、唇は濃い目のリップペンシルでアウトラインを大きめに入れマットな唇に仕上げました。イザベラもこの時のメイクはとても気に入ってくれて問題なく撮影は進んだのですが、1時間もすると雨が降りだし、気温はさがり、厳しい状況での撮影だった事が今懐かしく思い出されます。
カバ―としては最悪のライティングでしたが、天才のスティーブンはこの曇った光を利用してブラックアンドホワイトの写真に仕上げたのです。幾つかあるカバーの中でとても気に入っている一つです。
雑誌のカバーをやるという事は、私達仕事仲間の間では、とても重要な事なのです。そのカバーの数でその人の仕事のレベルが決まるほど、大切なものです。私もお蔭様で今までたくさんのすばらしいカバーの仕事にめぐり合えとてもラッキーだと思っています。
















