CULTURE
21世紀になってはや10年目。 目まぐるしく変化し続ける東京では、 大きな商業施設が続々と誕生する一方で “その場所ならでは”の、個性あるスポットが 独自のムーブメントを起こしつつあります。 この冬ぐっと注目度を増したひとつのビルと 今春始動するふたつの新プロジェクトは 2010年、要注目です!
<左>「OVER THE COUNTER BY ARTS&SCIENCE」のエントランスは、通りから少し奥まった場所に位置。
<右> 「3331 Arts Chiyoda」の完成予定イメージ。


<上>「OVER THE COUNTER BY ARTS&SCIENCE」の店内。<左>A&Sオリジナルパッケージのアイテムも揃う。右奥から時計回りに、マッチ945円、スチームクリーム1,500円、お香(奥)2,940円、(手前)1,890円、ソープ3,045円(以上ARTS&SCIENCE/OVER THE COUNTER BY ARTS&SCIENCE)


「Utrecht」の店内。奥にはギャラリースペース、窓の外のテラスにはカフェスペースが。

「jardin du I’llony」の店内。

表参道から青山通りを越え、根津美術館の方へと向かう道は、国内外の名だたるブランドが軒を連ねながらも、どこかのんびりとした雰囲気を持つ場所。この通りに建つ、築40年以上という1軒のビルに、このところ気になるショップが誕生しているのです。
その筆頭が1階に位置する「OVER THE COUNTER BY ARTS&SCIENCE(オーバー ザ カウンター バイ アーツ&サイエンス)。11月下旬にオープンした、スタイリストのソニア パークさんが手がけるショップです。こちらの特徴はなんといっても、店内に入ってすぐの大きなカウンター。このカウンターを挟んで店員さんとお客様が向かい合い、ゆったり話をしながらショッピングを楽しむことができるのです。「こんな時代だからこそ、よい品を適正な価格で手に入れる、ショッピングの本当の楽しさを知ってほしい」というソニアさんの思いが形になった店内には、生活雑貨を中心に、ソニアさんが世界各地から集めた「自分が本当に欲しいもの」がぎっしり。クオリティと美しいデザインが結びついた品々は、眺めているだけで心が豊かになり、感性が磨かれるようです。
ショップ手前の階段をのぼった2階には、中目黒にあったブックショップ「Utrecht(ユトレヒト)」が移転。ギャラリー「NOW IDeA(ナウ アイディア)」と、カフェスペース「aMoule(アムール)」を併設した新空間で営業中です。ユトレヒトは、大きな書店ではなかなか手に入らないスモールプレス(小規模出版)の本を得意とするショップ。ここでしか出合えない個性豊かな本や雑貨が見つかります。ふらりと立ち寄って、ギャラリーをのぞき、気に入った本があったら購入して、オープンエアのカフェスペースでのんびり読書……。そんな心地よい時間が青山の中心で味わえる、贅沢なスポットです。
2階の奥に位置するのは、10月にオープンしたばかりの、芦屋発のフラワーショップ「jardin du I’llony(ジャルダン デュ アイロニー)」。モダンかつ洗練されたフラワーアレンジメントで、某ラグジュアリーブランドのディスプレイを一手に引き受けるなど、芦屋では絶大な支持を集めるこちら。店内の花もまるでひとつの作品のようにディスプレイされていて、センスの良さが肌で感じられます。その美しさに思わずため息……ですが、通常の花屋さんのように、1本からでも購入可能。その他ブーケやアレンジメントの対応(予約制)や、1回からでも受講可能なフラワースクールなども実施しています。
「一流ブランドが集中するエリアなのに、すぐ近くに小学校があって子どもの声が聞こえてくる。通り沿いですが、どこかゆったりした、隠れ家っぽい雰囲気が気にいっています」と話すのは、マネージャーの横山祐二さん。
各店に共通するのは、オリジナリティ溢れる雰囲気や品揃えのこだわり。ひとつのショップを訪れた人が、そのついでに別のショップに立ち寄るといったことも多いそうで、3軒をひとつの集合体として、そこで過ごす時間を楽しんでいる模様。これからの展開も気になる青山の新スポットは、一度足を運ぶ価値ありです。

<上>「3331 Arts Chiyoda」の完成予定イメージ。<左>「TABLOID」のプレスリリースより。

ニューヨークならソーホーやミートパッキングエリア、ロンドンならサウスバンクといった具合に、倉庫などの古い建物をコンバージョン(用途転換)して、新しいカルチャースポットを作るのは世界共通の流れ。すでに東京でもいくつかのスポットが同様の変貌を遂げていますが、2010年春にも、新たにふたつのスポットがオープンします。
「TABLOID(タブロイド)」は、東京都心の湾岸エリア・日の出に誕生する施設。新聞社の印刷工場だった建物をコンバージョンして、デザイナーやアーティストといったクリエイターに、オフィスやアトリエとして貸し出すプロジェクトが進行中です。さらに、TABLOIDで活動するクリエイター同士、ひいてはそこに集まる人々がコミュニケートできるようなスペースを設け、ワークショップやイベントなどを開催していく計画も。毎日更新されるクリエイティブ情報ページやリレーblogなど、ウェブサイトは早くも充実。グランドオープンは3月予定とのことなので楽しみです。
一方、秋葉原にある旧練成中学校を改築して誕生するのが「3331 Arts Chiyoda(アーツ千代田3331)」。“新しいアートの形をつくる”をキーワードに、アーティスト主導で運営される大型アートセンターという、日本初の試みです。建物内にはアートギャラリーやデザイン事務所などが入居するほか、カフェや屋上菜園など一般の人が訪れられるスペースも多く、アートフェアや美術展、ワークショップなどが計画されているそう。その第1弾として、3月14日のプレオープン時には、日比野克彦氏や藤浩志氏、八谷和彦氏などによるアートプロジェクトの展覧会が開催予定です。将来は東京と地域、日本と東アジアを結ぶアートの拠点を目指すとか。ユニークな施設の今後に注目です。

